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花の表情を捉えて No.1

花の楽しみ方というのは、現在では、お花見やガーデニング、フラワーアレンジメントなど様々ある。やはり、生の花の持つオーラや、生命力が人々をひきつけるからだろう。

いけばなでもそういった生の花を観賞するという部分も楽しみの一つであるが、それと同時にいけるという行為自体に楽しみがある。生の花は、同じ花でも、一本一本様子が違っている。花の大きさや、葉の付き方、茎の曲がり具合など。いけばなでは、その一つ一つの花々との出会いを楽しみながら、形を整えいけていく。そして一つの器の中に、調和のとれた世界を作り上げるのである。

いけ花に流派というものがたくさんある。それぞれの流派で違った基本的な型やいけ方というものがあるが、一本の花、あるいは枝を扱う点においては同じような基礎といえるものがある。どういう点かというと花を“生かす”ということ。花を生き生きしているように見せる、生命力を感じさせるということである。

簡単な例を挙げるとすると、いけた一本のバラが下を向いていると元気なく見えるが、上を向いていると元気よく見えるというようなことである。また何本か同じ種類の花をいれるときには、同じ上向きでも少しずつ花の向きを変えてやると全体としての生命力といったものを感じられるようになる。

花束などもらったとき、花瓶に移しかえる際に、そういった花の表情に気をつけながら一本一本いれるだけで、なにも考えずにバサッといれるより美しく感じられるようになるだろう。

人間同様、花や木の枝には表情というものがあって、いけばなではそれを捉える目を養うことが、大切になってくる。人を育てる際に、個性を生かす、という言い方をするが、花の場合も、それぞれの個性、花や枝の美しいところを見つけることが、最初の一歩でもあり、いけばなの終生の楽しみである。

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