花で心を整える
最近は、薄紅色や白の花水木の花が盛りで、道を散歩すると所々で見かける。
人の世は新型コロナウィルス騒動の最中であるけれど、草木の世界では、それに関係なく花は咲き、新緑が芽吹いていく。伝書の中にも、そのように植物を書いている部分があって、私心のない様子や、人の目を楽しませたり、食用になったりすることを捉えて、とても尊い存在であるということを説いている。
この2月以降、いけばなの世界でもこの騒動の影響が出始め、3月以降は予定されていた展覧会がほぼ中止になり、4月は稽古もできなくなった。展覧会のために用意されていた草木もたくさんあっただろうに、それらはどのようになったのだろうか。稽古用として少しでも出回り、人々の目を慰めたならまだ良しとしたい。ヨーロッパでの映像で、草花が捨てられる様子があったが、とても見るに耐え難いものだった。日本ではそのように扱われないことを切に望みたい。
先日、朝日新聞の天声人語でも、この状況に苦しむ花屋さんのこと、花卉生産者のことが取り上げられていた。私をはじめ、いけばなをする人間すべてがこの状況を憂いていることと思う。こんな時だからこそ、私たちいけばな人は、花のある生活の素晴らしさを発信していきたい。私自身は、時間ができた分、家でいけた花をインスタグラムやフェイスブックになるべくたくさん載せるようにしている。花を見てもらえて、家にいけたい、飾りたいと思ってもらえればと思う。少しでも、花を買う人が増えて、花屋さん、生産者の方々の足しになれば嬉しい。このコロナ禍が過ぎたあとのためにも継続して行っていきたい。
花をいけていると、背筋がすっと伸びるような気持になる。花は存在するだけで癒しにもなるが、私にとっては心を整えてくれる存在である。
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