菖蒲あれこれ
今年の子供の日は、近所の人が、菖蒲の葉があるよということで、もらいに行った。
少し母におすそ分けし、後は家の睡蓮鉢に入れて栽培できるか試している。
最近はしなくなってしまったが、小さい頃には、菖蒲湯に浸かったり、近所で生えていたヨモギを取ってきて、母にヨモギ餅を作ってもらったりした記憶がある。当時、家のお風呂はヒノキでできていて、菖蒲の葉の香りもより感じられたように思う。
お花の世界に入って、菖蒲というのは二種類あるというのが初めて分かった。
菖蒲湯の方は真菖蒲でサトイモ科、花を愛でるのが花菖蒲でアヤメ科。葉だけを見ていると、細長いところは同じでよく似ている。触ると真菖蒲の方がツルッとしている感じである。
花菖蒲は花菖蒲園などで見ると水に浸かっているが、本来は陸の植物である。景観上、水と相性が良いからそのように見せているのだろう。そして真菖蒲の方は水生植物となっている。
端午の節句には、花菖蒲の花に真菖蒲の葉を添える花と、真菖蒲にヨモギを寄せていける花が伝わっている。どちらの花も水物と陸物ということで本来は一緒にはいけないが、端午の節句に限っては一緒にいける。特には真菖蒲とヨモギの組み合わせは、陰陽でいうと真菖蒲が極陰の花、ヨモギが極陽ということで、陰陽の和合によって邪気を払うという意味がある。また、真菖蒲、ヨモギとも香りが強いが、邪気を払うということにおいては、そういう植物が使われる傾向にある。
花菖蒲の方はこれからが盛りになってくる。
昔は必ず花菖蒲の格花が普段の稽古に入っていたものだが、最近では葉の生産者が少ないのか、頼まないとないことが多い。杜若同様、この時期はアヤメ科の植物が主役という感がある。ゴールデンウィークも終わり、花屋さんも動き出した。立ち姿の力強い花菖蒲をいけて楽しみたい。