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珍至梅(ちんしばい)の「投げ入れ」

先日、YouTubeに「珍至梅の瓶花」を配信した。
いけたのは少し前になるが、6月には必ずといっていいほど、瓶花にいける大好きな花材でもある。別名を「穂咲きななかまど」や「庭ななかまど」とも言うがナナカマドと似ているのは葉っぱぐらいで、何より白い小さな花の集合体が泡のようでとても美しい。横に伸びるような枝も多く、その姿を生かすと、動きもダイナミックになる。

壺にいけるものを「瓶花(へいか)」というが、高さのある壺にいけると、枝の下に空間が大きく空いて枝ぶりがより生きてくる。「瓶花」は別名「投げ入れ」ともいう。投げて入れるわけではないが、言葉の雰囲気のように、壺に軽く置いていくような感覚でいけることができれば、他の枝が動くこともなく、簡単そうにいけることができる。
しかし、そう見せるには様々な技術が必要で、剣山にさす盛花より難しく、お稽古としては敬遠されがちである。私としては、投げ入れるようにササッとといけることができれば相当かっこいいと思うのだけれど。

瓶花は枝の止め方に少し工夫が必要で、主枝には「一文字留」という枝の足元に横棒を加えて、横棒と壺の接点2点と、枝の凭れる壺の口の部分の3点で固定する方法をとったり、足元を二股に割って向きが変わらないように「割り留」にしたり、添の枝は足元十数センチを地面の方向にためることで、そこがオモシになり向きが変わらないようにしたりする。まだまだ工夫はいろいろあるのだけれど、それはまた映像で見てもらった方が伝わりやすいかもしれない。

「瓶花」という呼び名はなんとなく硬いイメージに感じるが、「投げ入れ」というと柔らかく感じる。先生によっては「お投げ」という人もいて「お投げでもいけましょうか」などという言葉を聞くと、なんとも粋な雰囲気が出てきたりする。夏場、浴衣など着て縁側にいけるというのも風流なイメージでいいかもしれない。

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