夏の花を楽しむ ~蒲・ひまわりなど
いけばなにおいて、夏を楽しむとはどういうことか考えてみた。
まずは水。一般的にも、睡蓮鉢など庭などに置いているとそれだけで涼しげに感じる。盛花で水面を広く見せることで、同じように涼を演出することができる。やや広めの水盤で、剣山を片側に寄せていけると水面がよく見える。水の量に関しては、未生流の伝書に「四季足水の心得」として、夏は水を十分、もっと暑い時は十一分、つまり表面張力させるように書いてあるが、たっぷりと入れてやることも大切である。
また花材においても、主材に水物と言われるフトイや蒲といった水生植物を使うとより一層趣が出る。また足元にも睡蓮等の水生植物を使ったり、カラー等のフォルムのはっきりした花と葉物、擬宝珠の葉や、鳴子ゆり(斑入りアマドコロ)などを使うと涼しげである。キーワード的には、白や青系の花、斑入りの葉というところも入るだろうか。
次に器。白や水色系の陶器や磁器なども良いけれど、やはり最初に浮かぶのはガラスである。そこにあるだけで涼しげに感じる。水盤で最初に書いた水面をみせる扱いと合わせて使うとより効果的だ。
そして籠。夏に軒につるして涼を感じるのが簾(すだれ)であるが、同じように、竹を編んで作った籠も涼を感じるアイテムの一つである。繊細に編まれた竹籠は見ているだけで美しい。それにススキ、桔梗などの軽やかな草ものを入れるととりわけ雰囲気が出る。
他には、涼というわけではないが、夏に元気の出るというところでは、ひまわりやヘリコニアなど色や形のはっきりしたもの同士、原色系で合わせていけるのも、ビタミンカラー的な感覚でよいと思う。夏に辛い物を食べるのと同じで、視覚を刺激してくれる。
以上のことを考えながら作ったのが、兵庫県芸術文化協会のYouTube番組「つながろうアート」に載せていただいた映像です。合わせてご覧ください。
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