薔薇の由来と「いけばなの日」
日本いけばな懇話会という組織があって私もそれに属している。
そこでは毎週インスタグラムとフェイスブックに参加メンバーの花が載るようになっている。
基本的には時候に合わせた花で、五節句や、母の日など行事で決まっているものはその花を使った作品となる。
6月1日からの週はたまたま私が当たったのだが、誕生月の花というお題だった。
何の花か知らなかったので聞くと、バラとのこと。6月を代表する花というと紫陽花ぐらいしか思いつかなかったのでちょっと意外だった。
薔薇の言葉の由来を調べると、日本では古くは茨をウマラ、ウバラ、イバラという音で読んでいたということで、棘のある植物の総称としてそのように呼ばれていたとのことだ。また薔薇という字も音読みではショウビとも読むが、明治以降、英語のローズの対訳として先ほどのウバラ、イバラの頭の音をとって当て字とされたらしい。ちなみに日本のバラではノイバラ、ハマナスが日本の固有種とのこと。
現在では普通のバラは盛花などによく使うし、ノイバラは投げ入れなどにも使うけれど、昔の人はどれほどいけばなに使ったのだろうか。上に挙げた日本の固有種の他に、13世紀以降は中国のバラも入ってきていたようだが、基本的に、未生流では棘のあるものは客席、つまり人をもてなす場には用いない。棘は人を傷つけるからだ。ただ、棘をとって三光の枝葉という役枝・役葉を備えれば、独楽、つまり一人で楽しむ場合や花会には構わないということである。ボケもそうだが、きれいな花でも昔は物によっていろんな制約があったようである。
話は違うが、6月6日を「いけばなの日」として、本年、日本いけばな芸術協会から日本記念日協会に登録した。芸事は6歳の6月6日から始めると上達するという昔からのいわれがあり、芸事のひとつとしていけばなもそれにあやかった。ちなみに祖父の文甫も、6歳から母親や叔父から花の手解きを受けていたということだ。
例年なら、この時期、展覧会や子供いけばな体験などが開催される。今年は無理だが、来年は大いに「いけばなの日」をアピールし、子供たちにも伝えていきたい。