ススキとオギ
もう20年ぐらい前の話だろうか。ある協会の集まりで、芒(ススキ)と荻(オギ)の違いについて年配の先生に伺ったことがあった。
穂の部分はよく似ているのだが、生え方が違うという話だった。ススキはまとまって生えて、オギは連なって生えるという。また、オギは湿った場所を好むので、池や川のほとりに生え、穂がススキと比べて白っぽいという話だ。実際に生えているところを見て検分したことはないので、河原で見かけるススキだと思っていたものは実はオギだったのかもしれない。
なぜそんなことを思い出したかというと、朝晩少し涼しくなってきたからだろうか。虫の声も心地よく聞こえるようになってきた。ススキの穂もそろそろ伸びてくるころだろう。そうして、連想ゲームのように思い浮かんでくるのがお月見だけれど、未生流では、月夜にススキの格花を入れるときに体の後ろに葉をさらりと丸く垂れさせて月を連想させるようにする。
これを「月の座」という。
やはり昔から、秋の月夜にゆれるススキの穂は、特別風情のあるものに感じられてきたからだろう。
旧暦では8月15日が中秋の名月、十五夜であるが、もちろん新暦の8月では穂は全く出ていない。桜などと違って、促成栽培して穂を出させるほどのものでもないので、これだけは、旧暦で祝うのが適している。今年の十五夜は10月1日になるとのこと。ススキを飾って風流に浸るのも乙なものではないだろうか。